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「ビール、追加の樽が届きましたーっ!蜂蜜酒の追加はもう少しかかりますーっ」 日が真上に見えた頃、亀神殿の神官団2000人は忙殺されている。 春風祭と音楽祭が近いせいか、訪れる人の数が予想を大きく超えていた。 空の樽が山を成そうとしている。前庭にはささやかな出店が出されている。その裏では荒い息を吐いた神官が何人も腰を下ろしていた。出店に前もって置かれていた酒樽はとうの昔に空である。急遽ビール工場から追加をお願いし、神殿の地下深くから蜂蜜酒の樽を運び出していた。 声の主は、美女である。 北国人ではない、肌の色は薄い小麦色である。栗毛の髪をポニーテールにし、大きな両目はエメラルドの瞳を収めている。 背は、昔に比べれば少し伸びた。 「アルティニさーん、少し休んでください。働きっぱなしでしょう?ここはまかせてください。」 「ありがとうございます、それじゃお願いします。」 「こちらこそ、お手伝いありがとうございました。音楽祭、楽しんできてください。」 若い神官に後を任せ、アルティニは出店から離れた。 朝からずっとだったから体が硬くなっている。大きく伸びをして、溜まっていた息を一気に吐き出す。体が軽くなった気がした。さて、とりあえず街に行こう。 歩き出すと、すぐに顔見知りから声をかけられた。出店のおじさんおにいさんおねえさんおばさん、神官の人達、楽器職人のおじさん、何度も何度も。 神殿を出る頃には両手一杯に食べ物を抱えていた。後ろからリュートの優しい旋律が聞こえた。あれは多分マルク先生だな。 刈り終えた畑とラズライトラインが目の前の景色だった。 少し歩けば街が見えてくるだろう。 街でもきっと声をかけられるだろうなと思った。酒場の店主に常連達、八百屋のおばさん、魚屋のおじさん。他にもたくさんいるなと驚く。 随分顔見知りが増えたものだ。 まったく、あの人はどこいったんだろう。 頭の隅で、無造作に髪をしばり前髪で目の見えない男を思い出した。 まぁ、そのうち帰ってくるか。その時に聞けばいいや。 音符の形をした蜂蜜飴を舐めながら、足は王都イリューシアへ向いていく。 [No.7362] 2010/04/02(Fri) 02:13:00 |
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