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詩歌藩国の夜は暗い。 島の大半が自然に覆われている。 高い山、深い森、厚い雪。 街を照らす街灯は、かつてと比べればずいぶん増えた。 しかし、未だこの国の文明は夜を支配できていない。 だから、此の国には未だ幻想が息づいている。 優しくも強い、人ならざる者達の物語。 今宵も、その幕が開く。 サファイアラグーンを見下ろせる場所がある。 そこには一体の石像があった。 巨大である。 足元からだと顔は見えないだろう。 積雪と春雨で像は黒くなっていた。 野ざらしであったけれど、みすぼらしくはない。 それは犬の女神であった。 かつては地下の大神殿で埃を被っていたけれど、今はこの場所で詩歌の日々を眺めている。 その足元に、43士の犬士がいる。 静かに何かを待っていた。 姿形は皆、人である。 ただ、犬の耳と尻尾が見える。 男も女も老いも若きもいた。 職業も様々である。 兵も警官も医師もいた。 およそこの国にある職業の殆どがいた。 なのに、誰もかれもが時代遅れで旧式の剣形銃を持っていた。 燃費が悪く整備も難しい、随分昔に最新型と取り換えられた筈である。 なのに、それは彼らの手の中にあった。 さも、当然のように。 今はもう動かない女神の像の影が揺れた。 煌々たる満月が新たに濃い影を生む。 四本の脚は音を立てない。 赤いマントを靡かせる。 煌々たる月がその背を照らす。 その名はシィ。 詩歌を統べる犬の王。 犬士達が頭を垂れた。 しかし、膝を屈しはしなかった。 それが、彼らの関係である。 彼らは犬妖精と呼ばれている。 人よりも古くこの地で暮らし、すこしだけ長い時を生きてきた。 そして、詩歌の民たる心を得た。 王は二本の脚で立ち上がった。 「皆、この国は好きか?」 唐突に、王犬は尋ねた。 「「「「「はい」」」」」 淀みない返事だった。 「皆、強い力は怖いか?」 強い意志に満ちていた。 「「「「「はい」」」」」 臆することのない返事だった。 「力よりも心は強いか?」 何度も自問した言葉だった。 「「「「「はい」」」」」 確信に満ちた返事だった。 「ならば、我らの心が我らの力を御するだろう。どれだけ強い力でも」 答えは決まった。 44の妖精達は唱えた。 始まりの言葉を。 かつて封印したカーシーの力を解く、その儀式のはじまり。 「「「「「ワン フォア オール、オール フォア ワン(一匹はみなのために。みなは一匹のために)」」」」」 それは詩歌藩国が唯一持つ絶技と同じ言葉だった。 だが、それとは全く関係がない。 これは、ただの心構え。 この国から学んだ人の心。 「諸君、【我が家の歌】を。 家たる国を守る我々の心を示せ。 我らの力の王が家を思う心だと」 これが、詩歌の歴史に姿を現したカーシーの始まりとなる。 [No.7700] 2011/06/12(Sun) 01:02:27 |
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