高橋里美『認識論』を公開した。全集では第2巻に収録されている。元は、岩波講座に寄せたもので、解説紹介が基調だったが、手を入れて、高橋里美認識論の体裁を与えている。紹介という面が若干うっとうしいが、「認識」を哲学屋の狭い意味から、外延を広げようという意図を持っている。また、認識論から存在論へという風潮が広がっていた時代で、存在を論ずるにも、認識は外せないと言っている。認識論の勉強では、まず先に読むべき論文といえるのじゃないか。まあ、何の知識もなしでは、ちょっと読むのは辛いだろうけれど。
著者独自の考案を述べようとする部分は、納得的とは思えなかったけれども、そういった面に意欲の無い「認識論」は面白くないですね。消化不良の感は残っても、読みごたえのある論文です。 |
No.471 - 2023/10/20(Fri) 10:44:22
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