オーギュスト・コント著田辺寿利訳『実証的精神論』を公開した。
コントが、自身の哲学を実証主義と規定したことを語るもので、手軽に概略を知ることができるもののようです。無料の公開講座を数年開いたその内容を、著書としたときの序文ということです。コントは社会学の必要を説いたということですが、ここには社会学的な考察は皆無に見える。必要なようなことは言っているが。 文章は講座で話されるようなものではない。このような話し方をされたら、ついて行ける人は一握りの秀才だけでしょう。
訳書としては、岩波文庫から出て、1985年にも再刊されたように、コントの訳としては貴重なものでしょう。1947に信濃書房から改訂版が出ており、それを底本ということにしている。ただそれは当時出版事情が良くなかったようで、校正が充分にはなされていない。岩波文庫版の修正なのか校正不足なのか、と危ぶまれる箇所がある。素人ながら、訳文に口を挟むごとき注をいくつか入れてしまった。 |
No.442 - 2021/05/25(Tue) 11:20:39
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