時枝誠記著『国語学原論』および『国語学原論続篇』を公開した。岩波文庫からで、新漢字・新仮名遣いに既に換えられている。 ソシュール批判及び小林英夫への疑義では、参照箇所の読み方に納得できない感が強い。小林訳に引きずられて、ソシュール解釈に問題があったとも本人が触れているが、それだけとは見えない。そこで参照箇所だけではなく、その前後で関連しそうな文を収録した。小林訳は複数あって、最新の書は初版とは大分変わっている。その変わった文も入れたりで、一〇頁ほどになり、余計なお世話といわれそうですが。 小林の引用箇所は、最寄りの図書館が閉まり、国会図書館も遠隔コピーサービスを中止したので、2件の調査が済みませんでした。何時再開されるか分からないので、打ち切って公開します。
言語を過程として捉えるという件は、意欲はそれとして、成功しているかは疑問です。主体・客体・思想・事実は、いわば素樸実在論として登場している。また、社会性ということについても、国語学者なのだから目をつむっておこう、というレベルではないか。続篇になると、それはちょっと目を覆いたくなる感がある。歴史に関しても、中高生向け教養書か?と思える。そういった、彼が立ち向かおうとする「他者」は横に置いて、日本語の分析だけに注目して読む、という気持ちで臨む必要がありそうです。 |
No.425 - 2020/04/24(Fri) 11:04:03
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